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専門職チームで利用者の望みを叶えられるケアマネをめざす

2020.03.10 掲載

 広島県社会福祉協議会 社会福祉研修センターは、広島県から指定を受け、介護支援専門員実務研修受講試験と介護支援専門員の実務研修(合格者対象)及び更新(実務未経験対象)・再研修を実施しています。
 介護支援専門員(ケアマネジャー)は、「ケアマネジメント」を担う専門職として、居宅介護支援事業所をはじめ、介護保険施設や地域包括支援センター、地域密着型サービス等様々な事業所で活躍しています。
 今回は、広島県介護支援専門員協会副会長の名越静香さんに、福祉職と協働する地域共生社会の実現に向けて、「ケアマネジャーの役割やこれからの期待」について、お話を伺いました。

(一社)広島県介護支援専門員協会

 副会長 名越 静香 さん

プロフィール

 長崎県出身、長崎大学医学部附属病院で看護師として勤務後、95年に広島県看護協会訪問看護ステーションに就職。同会在宅介護支援センター、居宅介護支援事業所、ヘルパーステーションの各所長を兼務され、98年に介護支援専門員資格を取得。広島県介護支援専門員協会設立準備室のメンバーとして、設立時から関わっています。2003年、同会訪問看護事業部長に就任。07年に広島県緩和ケア支援センター緩和ケア支援室長に就任。現在は広島県訪問看護ステーション協議会理事等多くの役員や講師を務めています。

ケアマネジャーの役割について感じていること

 ケアマネジャーの役割や求められる姿は、世の中の変化とともに、利用者の考え方、価値観等が変化し、多岐、多様に変わってきています。
 これらに対応するためには、柔軟性が求められます。ケアマネジャーの一連の仕事は、アセスメントにはじまり、作成したケアプラン原案をもとにサービス担当者会議で、サービス提供事業者から専門的な視点で検討、互いの認識を共有し、利用者への説明・同意を得てプラン内容を決定します。実は、このアセスメントがとても大事で、「ケアマネジメントの心臓部と言っても過言ではない」と名越さんは言います。アセスメントの段階で、利用者の抱える問題を見極めるためには、とにかく情報収集です。利用者本人がどのように生活していきたいか、この介護サービスを利用者本人が望んでいるかどうかといった主観的なことも考慮します。
 また、ケアマネジャーは、生活支援の視点をもって、日常生活行動を見極め、必要なサービスを組み入れるために関係専門職につなぐ調整役だと。
 名越さんは、他の専門職と調整される中で、社会福祉士との繋がりから、生活支援の視点を学ぶことが多かったとふり返られました。
 そして、それぞれの専門職が強みを活かし、お互いを高め合い、自立支援を担う専門職になってもらいたいと続けられます。

今、ケアマネジャーに求められていること

 基礎資格に基づいた専門職でもあるケアマネジャーに求められることの一つに、多職種連携があります。
 最近では、在宅で最期を迎えることを希望される人が増え、終末期のケアの重要性が高まっています。そのため、医療との連携が不可欠となっています。
 介護する家族を細やかにケアし、専門職チームで利用者を支えることが求められます。
 在宅で最期を迎えることを希望される人の多くは、老々介護や独居世帯であり、どのように支えるか。そこで、多職種連携が必要となるわけです。関係の専門職がそれぞれ専門的な知識を持って意見を出し合い、利用者が望む生活に近い状態に持っていきます。「住み慣れた家で最期まで暮らしたい」と多くの人が望むこの願いを叶えたいとも。
 高齢者の死は日々の生活の延長線上にあると考えます。こうした願いを叶えるためには、本人・家族と医療職等専門職との橋渡し、その際の合意と確認のツールとしての「ACP(アドバンス・ケア・プランニング/人生会議)」の普及と実践が必要だと名越さん。
 人生の最終段階での本人自身の意思決定である「ACP」という言葉になじみはなくても、最期にどのような医療や介護のケアを受けたいか考える人は多いだろうということです。
 また、厚生労働省の調査によると、最期に受けたい(または受けたくない)医療について、家族などと話したことがない理由として最も多く挙げられたのが「話すきっかけがなかった」ことだそうです。
 自分の最期の希望を考えたり、その希望を家族や大切な人と共有してみたりと、この記事がきっかけになってもらえると嬉しいとのことです。

これからのケアマネジャーへ期待すること

 ケアマネジャーは「ケアマネジメント」を担う専門職として、居宅介護支援事業所のみならず、介護保険施設や、地域包括支援センター、地域密着型サービス等様々な事業所で活躍しています。
 名越さんは、専門職として、その知識を多職種と共有しながら、その人らしさ、その人の生き様を加味し尊重したケアプランの提案や介護予防にも力を入れてマネジメントしていただきたい。むしろ、介護保険サービスは最後に考えるくらいで、そのために日頃から地域の様々な資源を把握整理しておくとよいとアドバイスされます。
 また、地域包括ケアシステムの要として、利用者の自立支援のためのスキルの向上に努め、これからの地域のあり方も考えていくことのできる専門職をめざしてほしいと名越さん。
 さらに、今後はますます医療ニーズの高いケースや緩和ケアのケースが増えます。的確なアセスメントができるスキルの向上も必要だとのこと。
 そして、これからは、地域共生社会の実現に向け、本協会は、職能団体として広島県社会福祉協議会と協働して高齢者だけの支援にとどまらず、障害者や子育てに係るケアマネジメントにも目を向け、役割と仕事の幅を広げる活動をしていくことが期待されていると考えられています。
 一方で、毎年のように発生する大きな災害時の支援として、社協災害ボランティアセンターとの連携したチーム対応も相談援助職として期待されていると、新たな思いもお聞きしました。
 最後に、互いに研鑽し合い、これらの期待に応えられるケアマネジャーを目指していきたいと結ばれました。

 

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