HOME > 広島県社協 > 広報の取り組み > 福祉ひろしま<県内の取り組み紹介> > 「コロナ特例貸付(生活福祉資金)後から見えてきたこと」

「コロナ特例貸付(生活福祉資金)後から見えてきたこと」

2024.01.10 掲載

 本会では、令和2年3月から令和4年9月までの約2年半にわたって、新型コロナウイルス感染症の影響に伴い、休業や失業等で減収した生活困窮世帯に対してコロナ特例貸付(生活福祉資金)を実施し、県内で38,971件、約114億円の貸付を決定しました。この貸付により見えてきた成果や課題等についてお伝えします。

1.本会におけるコロナ特例貸付の貸付・償還状況について

  コロナ特例貸付は、緊急小口資金と総合支援資金の2種類があり、借受世帯は今後、緊急小口資金を2年間、総合支援資金を10年間かけて償還(借りたお金を返すこと)することになります。
 しかし、貸付後も生活再建がむずかしい世帯が多い現状から、国は償還を免除したり猶予する救済措置を行いながら、真に借受世帯の生活再建をめざしたフォローアップ支援(自立支援)を全国の社会福祉協議会(以下、「社協」という)に実施することを求めています。
 現在、本会では「住民税の所得割・均等割がいずれも非課税である世帯」や「貸付後に生活保護を受給している世帯」「重度障害で手帳を所持している世帯」について、借受世帯からの申請に基づき、償還を免除しています。自力で完済した世帯も含めると債権全体の約36%が償還完了または免除となっています。また、償還免除の要件には該当しないものの、返済が困難な場合は償還を猶予しています。
 償還期間中かつ償還免除にならない借受世帯(債権全体の41%)のうち、約80%は償還が滞っている状況にあります。また、県内の借受世帯のうち、本会からの郵便物や電話連絡に対して未応答の借受世帯(返済が困難であり、生活状況が不明)は約3割に相当します。
 県内の市町社協は、こうした状況を踏まえ、令和5年度から本格的に地域の実情に応じた借受世帯へのフォローアップ支援(未応答の借受世帯の実態把握を含む)を行っています。
 今回は江田島市社協におけるフォローアップ支援の取り組みについて紹介します。

 

償還状況 債権数
➀償還開始前 7,711件
➁償還完了(償還免除+完済含む) 13,939件
➂償還猶予中 1,293件
➃償還期間中(償還滞納含む) 16,028件
合計 38,971件

 

2.“一人ひとりをしっかりみていく”生活困窮者支援をめざして〈江田島市社協の取り組み〉

 「このたびのフォローアップ支援の対象となる借受世帯は、コロナ禍以前から生活が困窮状態にあったなど、もともと生活課題を抱えていることが多い。それが、コロナ禍で顕在化した。何かあったら誰でも困窮状態に陥るということを改めて実感した」と、江田島市社協の田中係長。
 そのため、江田島市社協では、フォローアップ支援を入口として、自立相談支援機関である「くらしサポートセンターえたじま」を中心に、世帯への寄り添い支援を展開しています。借受世帯の抱える課題は就労や家計管理に関するものが多いため、それらの支援を重点的に行うことで、生活課題の解決をめざします。
 江田島市社協がこうした支援を展開できる要因は、次の2つだと考えます。

①相談時にしっかりインテーク(困りごとを丁寧に把握し支援を検討すること)を行い、貸付後の関わりを見据えて貸付を行ったこと。
 これにより、現在も定期的な面談(生活状況の把握、必要な支援の検討等)を行うことが可能となっています。

②本人とその世帯が望む生活再建のゴールやペースを尊重して関わること。
 貸付金の返済や免除ありきでの介入をせず、本人のその時々の状況や働きかけのタイミング、方法を見極めつつ、伴走的に関わることを大事にしています。

 支援を進めるうえでは、悩みや難しさも毎日のように感じています。何度も何度も連絡しても本人とつながることができない、約束しても会えない、社協が必要と感じる支援を本人が受け入れ難い…。
 そうした状況だからこそ、社協の総合相談機能を発揮する必要があると、河内課長は職員のみなさんと話します。「フォローアップ支援の難しさはもちろんあります。でも、まずは一人ひとりの借受人をしっかりみていくこと。本人の話を聴き、わかろうとすること。江田島市社協では、実際に、職員のみんなが、借受人とその世帯に向き合ってくれています」と、力強く添えられました。
 このたびのフォローアップ支援では、社協がこの支援を行う意味を確認しながら、地域において、これまで社協が取り組んできた生活困窮者支援をはじめとするソーシャルワーク機能を活かし、取り組みを進めていきます。

【写真】支援について話し合う河内課長(右)と田中係長(左)

3.償還促進・フォローアップ支援の課題と今後の展望について

 本会は、借受世帯が償還への理解を深め、返済しやすい環境を整備するとともに、市町社協が取り組むフォローアップ支援を後方支援しています。例えば、定期的に借受世帯に対して分かりやすい償還免除や償還開始の案内文の送付や、専用メールアドレスの設置、簡易な手続きによる口座振替の登録手続きを行うとともに、市町社協によるフォローアップ支援等、借受世帯の状況を分かりやすく整理して共有しています。
 しかしながら、既に他の市町や県外への転居や母国に戻っている借受世帯もいることや、借入時の電話が使われていないなど、借入後の世帯状況の把握が難しいケースもあります。
 本会は今後も市町社協や自立相談支援機関、行政等の関係機関と連携を図りながら、借受世帯が住み慣れた地域で安心して暮らしていただけるように、取り組んでいきます。

お問合せ先

生活支援課

所在地:〒732-0816 広島市南区比治山本町12-2 県社会福祉会館1階
電話:082-254-3413(貸付担当)
   082-567-4836(償還担当)
ファクス:082-252-2133
受付時間:平日8時30分~17時30分
 ※土日祝日・年末年始(12月29日~1月3日)は、お問合せフォームで受け付けます。
 (返信には数日程度かかります)

カテゴリ

年別アーカイブ

社会福祉法人広島県社会福祉協議会

〒732-0816
広島市南区比治山本町12-2
電話:082-254-3411(代表)
平日 8時30分~17時30分
(土日・祝日・年末年始は休業)

ページの上へ戻る