HOME > 広島県社協 > 広報の取り組み > 福祉ひろしま<県内の取り組み紹介> > 里親と里子が歩む道 < 里親や元里子の声から見つめる、社会的養護としての里親制度のこれから >

里親と里子が歩む道 < 里親や元里子の声から見つめる、社会的養護としての里親制度のこれから >

2025.12.10 掲載

 日本には、親の病気、経済的な困窮、虐待など、さまざまな理由により親と暮らすことができない子どもたちが約4万2千人います。
 そんな子どもたちを、自分の家庭に迎え入れ一定期間預かって育てる制度が「里親制度」です。
 その「里親制度」が今、新たな局面を迎えています。
 今回は、里親の養育エピソードを紹介するとともに、「里親制度」の今をお伝えします。

1.社会全体で子どもを育む社会的養護における里親制度

 さまざまな事情により、家庭だけで子どもを育てることが難しい場合もある中で、社会全体で子どもを支えていこうという「社会的養護」の考え方が、今、重視されています。
 子どもたちの健やかな成長には、愛されていると実感できる、家庭と同じような環境で育つことが大切です。そのため、子どもが家庭と同様の環境で養育される里親制度は、「社会的養護」の仕組みのひとつとして重要な役割を担っており、国においても「里親制度」の活用に力が注がれています。
 この流れを受けて、広島県においても、令和7年に「ひろしま子供の未来みんなで応援プラン」を新たに策定し、国の施策同様に「里親制度」を位置づけました。今後、「社会的養護」の観点から、里親制度の更なる普及・啓発を図り、子どもが家庭と同じようなあたたかな環境で育まれる基盤づくりを進めるなどの取組の方向が示されました。

2.家庭で過ごす時間が「親子」をつくる ― 里親・古川会長が語る里子との日々 ―

 今回は、里親として17年、広島県里親連合会会長として10年以上の活動を継続されている古川(こがわ)充(みつる)会長に、里親活動の実際を伺いました。古川会長の具体的な里親の養育エピソードから、子どもが家庭的環境で育つことの大切さを考えます。

 

 古川会長にとって、長期間の養育を想定した初めての里子(さとご)は二宮さん。2歳になる頃から古川会長のご家庭に迎え入れられ、中学生にあがる前まで一緒にすごされました。

 児童相談所の知り合いから里親に登録してみませんかと頼まれた際に、自身は特別な資格等もないけれど子育ての経験もあり、目の前に困っている子がいるならと里親に登録し、里親活動を始められました。

写真:古川会長の故郷、青森県の岩木山へ登頂(左が里子の二宮さん)

 子どもとの関係は血のつながりよりも、家庭で過ごす日々の生活の中から生まれてくるものだと、里子の屈託ない笑顔や寝顔を見ては感じたそうです。でも、里親活動は悩むこともたくさんあります。「二宮さんを育てていく中で、特に成長するにつれ、なぜそのようなことをするのか分からない行動をとることが増えていきました。正直、困り果てたこともありました。でも、きっと、これまでの生育環境の影響などから、本人も何かモヤモヤを抱えているのだろうと、受け入れていったんです」と古川会長。
 二宮さんが17歳になった頃、5、6年ぶりに古川会長と再会する機会が訪れました。そのとき、元里子の二宮さんは「里子の期間に、古川の家では、たくさんのことを経験させてもらった。お 父さん のように、子どもにいろんなことを経験させてくれ、物事を教えてくれる親はなかなかいない」と改めて感謝の気持ちを伝えられました。そして、「自分は、育ててもらったことに対し、誠実に生きていきます」と添えられたそうです。
 「大人になり、自分の立場とかこれまでの生活を振り返って色々考えていると思う。私も、里親として育てている時は悩むことも反省することも多かったけど、愛することも愛されることも、難しいからこそいとおしく、自分も成長させてもらったとしみじみ感じます」と、当時を懐かしみやさしく微笑まれる古川会長がとても印象的でした。

写真:里親活動について熱く語られた古川会長

3.社会的養護を支える里親制度の役割とこれから

 家族みんなで公園に遊びに行っておむすびを食べたり、靴を揃えられるようになって頭をなでて褒められたり、ときには親子ゲンカをしたり、そうした家庭の中の当たり前の日常の中で、安心感や自己肯定感、生きる力を養うことが子どもの育ちには必要です。そして、このような「里親制度」の強みを活かし、家庭と同様の環境における養育の推進が今求められています。子どもが安定した家庭で育つことは、社会にとっても重要であり、子どもの最善の利益のために、私たちが社会全体で考えていく必要があるのです。

 本会では、「里親制度」の大切さを伝えるための周知啓発の取り組みの一端を担うとともに、養育に不安や困難を抱える世帯への支援、さらに、個を支える地域づくりの支援に継続して取り組みます。また広島県をはじめとする関係機関とのネットワークづくりを含めた社会的養護の基盤づくりを意識して、社協の活動事業を推進していきます。

里親と里子が歩む道(福祉ひろしま2025年12月号)(別タブで開きます)

お問合せ先

法人振興課

所在地:〒732-0816 広島市南区比治山本町12-2 県社会福祉会館1階
電話:082-254-3416
ファクス:082-256-2228
受付時間:平日8時30分~17時30分
 ※土日祝日・年末年始(12月29日~1月3日)は、お問合せフォームで受け付けます。
 (返信には数日程度かかります)

カテゴリ

年別アーカイブ

社会福祉法人広島県社会福祉協議会

〒732-0816
広島市南区比治山本町12-2
電話:082-254-3411(代表)
平日 8時30分~17時30分
(土日・祝日・年末年始は休業)

ページの上へ戻る