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つながって広がるケアマネジャーの輪

2026.02.10 掲載

 本会社会福祉研修センターは、広島県知事の指定機関として、介護支援専門員(以下、ケアマネジャー)の資格を取得するために必要な「介護支援専門員実務研修受講試験」を実施しているほか、試験合格者を対象にした「介護支援専門員実務研修」や「介護支援専門員更新研修(実務未経験対象)・再研修」を実施しています。
 厚生労働省のシミュレーションによると、ケアマネジャー1人あたりの担当件数が変わらないと仮定した場合、2040年度までに約8.3万人のケアマネジャーの増員が必要とされています。こうした背景から、処遇改善や労働環境の改善、ICTの活用など、さまざまな分野で検討が進められています。
 今回は、そんなケアマネジャーの最前線でご活躍され、主任介護支援専門員でもある、広島市 東原・祗園東地域包括支援センター長の久保田竜二さんにお話を伺いました。

ケアマネジャーの役割について

 ケアマネジャーは、介護を必要とする人が適切に介護保険サービスを受けられるよう、本人やその家族の相談に応じ、心身の状況に合わせた支援計画を立て、支援を行う専門職です。 ケアプランの作成をはじめ、サービス事業者や医療機関との連絡調整、要介護認定の申請代行、介護給付費の管理などの業務は多岐にわたります。ケアマネジャーは、本人や家族の希望を単に形にする存在ではありません。これからの生活について本人や家族と一緒に考え、寄り添い続ける存在なのです。
 そしてその役割は、決して一人で支援を行うものではなく、医療や介護などさまざまな専門職と連携しながら知恵を出し合い、人と人をつなぐ「つなぎ役」として関わっていきます。この「つなぎ役」こそが、最も大切な役割だと考えています。

ケアマネジャーとしてのやりがい

 ケアマネジャーとして、デイサービス利用時代から長く関わってきた利用者の看取りに携わった経験があります。その人は入院後も、繰り返し「家に帰りたい」という思いを口にされていました。医師や訪問看護師、介護タクシーなど多職種と連携しながら、本人の体調や状況を見極め、帰宅の可能性について慎重に検討を重ね、「今なら帰れる」というタイミングで、念願だった自宅への帰宅が実現しました。
 久しぶりに自宅へ戻られた利用者は、とても穏やかで、嬉しそうな表情をされていました。その翌日、ご家族に見守られながら、ご自宅で静かに最期の時を迎えられました。ご家族からは、「本人の強い願いだった自宅に帰ることができ、自宅で看取ることができて本当によかった」という言葉をいただきました。
 この経験を通して、ケアマネジャーはサービスを調整するだけでなく、利用者一人ひとりの思いや人生に寄り添い、最期までその人らしい生活を支える大切な役割を担っていることを改めて実感しました。
 日々の支援の中では、「あの時、こうすればよかったのではないか」とふりかえることもあります。それでも、利用者本人やご家族が笑顔で喜んでくださり、「お願いしてよかった」と感じていただけた時、ケアマネジャーとしての喜びを強く感じます。
 利用者一人ひとりが持つ力や、これまで大切にしてこられたことに目を向け、その人の強みを生かした支援を積み重ねていくことも、ケアマネジャーの重要な役割です。関わりを続ける中で、その人らしさがより発揮されていく姿を見ることは、大きなやりがいにつながります。
 そして、「あなたがケアマネでよかった」という言葉をいただけた時、この仕事に携われて本当によかったと心から感じます。これからも、利用者の思いに寄り添いながら、一人ひとりの人生を支える存在であり続けたいと思います。

ケアマネジャーが働く現場で感じる課題

 ケアマネジャーとして、日々利用者と向き合う中で、気になっている課題もあります。なかでも一人暮らしの利用者に対しては、ケアプランの作成やサービス調整といったケアマネジャー本来の業務に加え、入院時の荷物の準備や、夜間の電話対応など、業務範囲を超えた対応を求められる場面も少なくありません。
 ケアマネジャーは「24時間利用者を支える」という立場にあることから、業務の範囲を超えていると分かりながらも、放っておけず対応してしまうのか、それともこれは業務外ですと断るべきなのかと悩むことも多く、その結果、いわゆる“シャドーワーク”が生じているのが現状です。
 また、声をあげやすい人、そうでない人の違いによって負担に差が出ることもあり、誠実に向き合うほど業務過多になってしまうケースも見られます。そのため、ケアマネジャーには利用者を客観的かつ多角的に捉える視点が求められます。共依存にならないよう適切な距離を保ちながら、その人がこれまでどのような人生を歩み、どのような家族関係の中で生活してきたのかを理解することが大切です。
 こうした課題を解決していくためには、事業所としてケアマネジャーをどのように支え、守っていくのかが重要なポイントになります。ケアマネジャーが安心して専門性を発揮できる環境づくりが、より良い支援につながっていくと考えています。

令和7年度 試験合格者364人へのメッセージ

 難関の試験を突破し、合格された364人のみなさん、おめでとうございます。
 みなさんは、ケアマネジャーにどのようなイメージをお持ちでしょうか。
「やりがいはありそうだけれど大変そう」、
「地域包括支援センターは忙しそう」、
「仕事量に比べて処遇が合わないのでは」―そんな印象をお持ちの人もいらっしゃるかもしれません。テレビやインターネットの情報から、忙しく大変な仕事というイメージが先行していることもあると思います。
 しかし、実際にケアマネジャーとして現場で働いてみると、それだけでは語れない大きな魅力ある仕事であることに気づかされます。利用者一人ひとりの人生に深く関わり、その人らしい生活を支えることができるのは、ケアマネジャーにしかできない大切な役割です。
 また、ケアマネジャーは、一人ですべてを抱え込む仕事ではありません。事業所の支援や先輩ケアマネジャーからの助言を受けながら、困ったときには一人で悩まず、さまざまな専門職と連携して業務を進めていくことができます。身近に相談できる先輩がいない場合でも、地域包括支援センターが後方支援を担っており、安心して相談できる体制が整っています。
 そして、ケアマネジャーとして支援する利用者は、人生の大先輩です。その人の生き方や歴史に触れながら関わる中で、自分自身も多くを学び、成長できることも、この仕事の大きな魅力です。ぜひ、ケアマネジャーという専門職の奥深さとやりがいを感じながら、一緒にケアマネジャーの輪をひろげていきましょう。

介護支援専門員研修の講師として感じること

 介護支援専門員研修は、かつての講義中心の研修から、近年ではグループワークを多く取り入れた参加型の研修へと変化しています。ケアマネジャーの業務を流れで理解できるよう、講義・実習・グループワークを組み合わせたカリキュラムが工夫されています。研修では、「アセスメントとは何か」という基本的な考え方を丁寧に学びます。この視点は、ケアマネジャーの業務に限らず、現在の職場においても活かすことのできる大切な学びです。
 また、グループワークを通じて他の受講者の意見や考え方にふれることで、自身の視野が広がり、新たな気づきを得ることができます。研修で学ぶことは、限られた職場の枠を超え、より広い視点で支援を考える力を育てることにもつながっています。
 仕事をしながらの研修は大変だと思いますが、一緒に学ぶ仲間が増え、視野を広げることのできる貴重な機会だと感じています。

 写真:研修講師を務める久保田さん

 

久保田さんの日頃の仕事と地域包括支援センターの役割について

 地域包括支援センターには、主任ケアマネジャーをはじめ、社会福祉士、保健師、看護師など、さまざまな専門職が所属しています。それぞれの専門性を生かしながら、高齢者やその家族が安心して地域で暮らし続けられるよう支援を行なっています。
 「地域の何でも屋」とも言われ、地域におけるさまざまな課題について解決策を考えたり、個人の困りごとを単なる個別課題として終わらせるのではなく、地域全体の課題として捉え、関係者とともに解決に向けた話し合いを進めていく役割を担っています。
 また、町内会行事への参加や介護予防講座の開催、民生委員向けの研修など、さまざまな場面で地域住民とつながり、顔のみえる関係づくりを大切にしています。

  

 

写真: 久保田さんが勤務する社会福祉法人 慈光会 東原慈光園内の広島市 東原・祗園東地域包括支援センター

 

インタビューを終えて

 現在、厚生労働省では、介護支援専門員研修の負担軽減や簡素化に向けた取り組みが進められており、研修のオンライン化など、より受講しやすい環境づくりが検討されています。こうした動きは、現場で活躍するケアマネジャーが無理なく学び続け、専門性を高めていくための重要な取り組みです。
 今回、お話を伺った久保田さんからは、新たにケアマネジャーとして歩み始めるみなさんに向け、「仲間と共に支え合い一緒に頑張っていきましょう」という温かいメッセージをいただきました。ケアマネジャーの仕事は決して簡単ではありませんが、人と人をつなぎ、その人らしい暮らしを支える、やりがいにあふれた専門職です。そして、地域包括支援センターの専門職は、そうしたケアマネジャーの歩みを地域全体で支える存在として、寄り添われているのだと感じました。
 本会では、こうした現場の声や国の方針を踏まえながら、介護支援専門員研修がより実践的で充実した内容となるよう努めるとともに、ケアマネジャーのみなさんの学びと歩みを、これからも後押ししていきたいと考えています。

プロフィール

 久保田 竜二

 

 

 

 

 

 


 平成9年4月から地元の社会福祉協議会に勤
務したのち、平成12年12月より社会福祉法人慈光会の
 特別養護老人ホーム相談員、デイサービス相談員、居宅介護支援事業所の介護支援専門
員として勤務。
 平成23年から地域包括支援センターにおける主任介護支援専門員として勤務。
 令和3年~4年  日本介護支援専門員協会・地域包括支援センター部会 副部会長
 令和4年~          日本介護支援専門員協会
 生涯学習体系  実践者レベル3 実践者レベル4 講師
 広島県認知症地域支援体制推進会議委員
 資格:主任介護支援専門員、社会福祉士
 現職:一般社団法人広島県介護支援専門員協会 常任理事
    災害支援ケアマネとして、同協会の災害委員会 委員長
    広島市 東原・祗園東地域包括支援センター センター長 主任介護支援専門員

 

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