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地域に開かれた「福祉拠点」となるために~(社福)サンフェニックスの取り組み~

 広島県老人福祉施設連盟では地域共生社会の実現をめざし,平成29年度に「地域福祉拠点設立推進会議」を立ちあげ,「地域の福祉拠点」となるための手引書を作成しました。
 平成30年度にはプロジェクト事業として活動を強化し,県内6ブロックからプロジェクトメンバーを選出し,手引書を活用しながら実際の取り組みを進めていきました。

 今回は,平成30年度から本プロジェクトのメンバーでいらっしゃる ケアハウスサンフェニックス 生活相談員 日下部 浩司さん率いる社会福祉法人サンフェニックス(以下,サンフェニックス)の取り組みを全2回にわたってご紹介します。

サンフェニックスを取り巻く地域の状況

 ・高齢化率約30%,高齢者夫婦世帯が多く,外出頻度がさがっている。
 ・独居世帯が多い。
 ・近隣には乳児院や養護老人ホームがあり,福祉拠点として協働を期待できる環境がある。

手引きにそって活動スタート

組織内の合意・チームで取り組む!

 施設が地域の福祉拠点となるためには,特定の職員だけでなく,チームとして取り組む必要があるため(「手引書―実践のための10のポイント」参照),サンフェニックスでは組織内でこの活動の必要性を理解し合意を得た後,法人内の特養,ケアハウス,グループホーム,居宅介護支援事業所で構成する「地域貢献チーム」を立ちあげました。以前は,地域交流を目的に施設内で定期的に「地域喫茶」を開催していましたが年々参加者が減少し,H30年度は実施を中止する等,地域との関わりが少なくなっていました。
 そんな中で地域の状況を知ることは難しいため,既存の会議である「運営推進会議」を活用して地域の実情を把握し,活動計画をたてていくことになりました。

 運営会議であがった地域の声

 ・地域の高齢化が不安
 ・独居世帯の安否確認
 ・施設のことを知りたい
 ・施設スペースの活用希望 等

地域住民との間に立ちはだかった壁

 H30年9月,運営会議であがった地域の声をもとに,防災訓練の共同実施や,独居宅を自治会と一緒に訪問する等,住民と協働する活動計画が少しずつかたまってきたそのとき,大きな壁が立ちはだかります。
 「個人情報保護」の問題です。
 それまで協力してくれていた住民から「個人情報に関わることじゃけえ言えんのよ」と,地域の困りごとや情報収集が困難になり,独居宅の訪問も中止になりました。

住民の一言から

 「地域に対して施設として何ができるのだろう…」日下部さんをはじめチームのメンバーに苦悩の日が続く中,住民の一言がヒントをくれました。
 H30年度は西日本豪雨災害が発生した年で住民の防災意識が高く,地域と一緒に企画して共同実施した防災訓練には多くの住民が参加されました。その訓練中「家族の介護や自分の老後を考えると不安なんよ。認知症も心配じゃし。認知症のこと教えてほしいわ」と住民の一人が話しかけてくれたのです。この一言がきっかけとなり施設の専門性を生かした「認知症講演会」を地域包括支援センター 認知症地域支援推進員の協力を得て開催することになりました。
 また,防災訓練のふりかえりでは,災害時に寝たきりの方の安否確認をどのようにしたらいいのか,といった相談や,施設の福祉用具の貸し出し希望等,「施設の力を貸してほしい」という声があがってくるようになりました。

地域の想いと施設の想い

 日下部さんは,「最初は地域との関わりが少ない中で『地域のために』と無理に成果をあげようとしていたので施設と地域の想いにズレが生じていました。住民が住み続けてこられた地域の生活に少しずつ関わりを持たせてもらいながら施設や職員のことを知ってもらうことが大切だと気づきました」と1年間を振り返られました。

 令和という新しい年を迎え,「地域の人たちが困りごとを気兼ねなく相談してもらえる開かれた施設になる」ことを目標に掲げ,サンフェニックスの2年目の挑戦が始まりました。(4月号へ続く)

  • 住民さんと連携しやすい既存の会議を活用!

  • いざ!という時に備えて,住民さんと一緒に防災訓練。

  • 1年間の苦労の後には,こんな場面が♪(次号でご紹介)

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